ダイヤモンドや婚約指輪の『 ハート&キューピッド 』(H&C) って何?

ダイヤモンドや婚約指輪を購入しようとして調べると『 ハート&キューピッド 』( H&C )という言葉がよくでてきます。なんとも可愛らしい名前ですが、この『 ハート&キューピッド 』があるのとないのではダイヤの価値にどんな影響があるのでしょうか。
今回はそんな『 ハート&キューピッド 』についてのお話です。

『 ハート&キューピッド 』( H&C )とは?

カットバランスの良いラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを特別なスコープで覗くと、まれに表面に8方向に広がる矢じり模様と、裏面には8つのハート模様が見えることがあります。この現象を一般的に『 ハート&キューピッド 』(以下 H&C )と呼んでいます。

通常ラウンドブリリアントカットのダイヤは58面(57面)にカットされますが、それぞれの面の広さや角度が一定の条件に研磨されることで、このH&Cが現れます。

出展:中央宝石研究所 https://www.cgl.co.jp/services/heart-cupid.html

婚約指輪の専門店などに行くと当たり前のようにこのH&Cのダイヤが並んでいますが、実は世界中に流通しているダイヤモンドでH&Cが現われるものは全体のほんの一握りのみです。

ですが婚約指輪の場合、一生に一度のプレゼントとしてできるだけ品質の良いものを選ばれる方が多いため、多くのお店がH&Cのダイヤを好んで扱うことが多くなっています。

『 ハート&キューピッド 』( H&C )の認知度

『 ハート&キューピッド 』という名称は、日本で一番多くダイヤモンドのグレーディング(鑑定)を行っており、国内の宝石鑑定鑑別機関としては最大手である「中央宝石研究所」の登録商標です。したがって必然的に『 ハート&キューピッド 』付のグレーディングレポート(鑑定書)を発行できるのは「中央宝石研究所」のみということになります。

ちなみに海外では同様の現象を『ハート&アロー(H&A)』と呼ぶことが多いです。これまで海外ではあまりH&CやH&Aへの執着は見られませんでした。

しかしここ数年で少しずつ状況が変わってきています。

昨今の日本での貴金属の下取りブームにより、下取り品が安く流通する状況が見受けられるようになりました。ダイヤの場合、アパレル品などと違って中古品でも欠けてしまった場合などを除けば本質的な価値は新品と変わりません。

元々品質を重要視する日本人が手放したダイヤは海外のバイヤーにとっても魅力的な商材です。

結果的に海外バイヤーからはこの状況がJapan mine(日本鉱山)とよばれ、国内の質流れ品を海外のバイヤーが買い漁ることが多くなりました。

それによって中央宝石研究所の鑑定書とともにH&Cの認知度が上がり、特に中国人バイヤーなどがジャパンクオリティの象徴であるH&Cを好んで本国に持ち込むことが多くなり、結果的に海外での注目度も高まってきています。

人気があるなら全部 ハート&キューピッド にカットすればいいのに

カット(形)の良いダイヤは取り込んだ光を内部で効率よく反射させて表面に戻します。そのためカットの良いダイヤほど良く輝きます。

H&C はカットの良いダイヤに現れる現象であり人気もあるので、いっそのこと全てH&Cが見えるようにカットすればいいのにと思われるかもしれません。

しかしそんな単純な話ではありません。そこには原石から「できるだけ大きなダイヤを残したい」気持ちと、「できるだけ輝きの良いダイヤを残したい」という気持ちの研磨業者の葛藤があるのです。

ダイヤモンドの研磨と歩留まり(ぶどまり)

ダイヤモンドの価値の指標として「4C」と呼ばれる4つの重要な項目があります。
4Cの詳しい説明はこちら
・カラット(Carat):重さ
・カラー(Color):色
・クラリティ(Clarity):透明度
・カット(Cut):形
この4つの指標のトータルバランスでダイヤモンドの価値が決められます。
(さらに細かい指標がいくつかありますが)

キラキラ輝くダイヤモンドですが、その原石の多くはいびつな形をしており、一つ一つの原石をどの様な形にカットするのが最適かを考える必要があります。以前は研磨職人が原石を見て、経験と感覚からどの様にカットするかを決めていましたが、近年ではオートメーション化が進み、自動的に最適なカットパターンが算出されるように進化してきています。

なおさら自動的にどんどん綺麗なカットを量産すればいいように思いますが、そんなに単純でもありません。
ダイヤモンドの価値を決める項目の一つに先ほどの4Cの中の「カラット」があります。
一つの原石からなるべくロスを抑えて大きなダイヤを削り出すことによって、「カラット」大きいダイヤが作られることになります(これを「歩留まりがいい」と言います)。

しかし、大きさにこだわることで結果的に形の悪いダイヤモンドになってしまっては、「カット」の評価が低く、輝きの悪いダイヤになってしまいます。

光の反射を最大限に引き出す理想的なカットを施すためにはある程度のロスを覚悟して研磨する必要がありますが、一方でできるだけロスを抑えて大きさを保つことも考えなければなりません。

ダイヤモンドの研磨業者は、常にこの「歩留まり」と「カットの良さ」のバランスを考えながら、その時々のマーケットの需要に合ったカットをすることで、できるだけ価値の高いダイヤを生み出す努力をしています。

まとめ

『 ハート&キューピッド 』( H&C )は、ただ綺麗な模様がみえるという現象ではなく、 H&C が見えることがカットの良さの証明であり、つまり輝きがいいダイヤであることの証とも言えます。もちろん実際に専用のスコープでダイヤを覗いたとき、綺麗なH&Cの模様が見えるとそれだけでとっても感動します。

また本来であればもっと大きなダイヤを生み出せたかもしれない原石から、輝きにこだわって贅沢に削り出された特別なダイヤモンドとも言えるでしょう。

特に婚約指輪など特別なジュエリーに使われるダイヤであれば、できるだけ輝きや品質にこだわったダイヤを使いたいと思うのは当然のことですね。ダイヤモンドを購入される際は、4Cの評価とともにこのH&Cにも目を向けてみてはいかがでしょうか。

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