婚約指輪に使われる天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンド徹底比較
「婚約指輪に使うなら、やっぱり天然のダイヤモンドじゃないとダメなの?」
最近では、そんな疑問を抱く方が少しずつ増えてきました。以前は「天然ダイヤモンド=唯一の選択肢」でしたが、今は“ラボグロウンダイヤモンド”というもうひとつの選択が登場しています。
研究所で人工的に生成されたこの新しいダイヤは、見た目も化学組成も天然と全く同じ。しかも価格を抑えつつ、エシカルで環境に配慮したイメージを持つため、注目を集めています。
ただし、両者は「同じように見えるけれど、意味が違う」存在です。この記事では、婚約指輪に使われる天然ダイヤとラボグロウンダイヤをあらゆる角度から徹底比較し、それぞれの魅力と選び方のポイントを深掘りしていきます。
天然ダイヤモンドとは ― 地球が生んだ奇跡の結晶
数十億年の時を経て生まれる“自然の芸術”
天然ダイヤモンドは、地球の奥深く、およそ150kmのマントル層で高温高圧の環境下にて数十億年かけて結晶化します。火山活動によって地表近くに運ばれ、ようやく採掘可能な状態となります。そのため、ひとつひとつのダイヤはまさに「地球が生んだ奇跡」と言われます。
この悠久のストーリーこそが、婚約指輪における天然ダイヤの最大の魅力です。多くの女性が「永遠の愛」を重ね合わせる理由も、ここにあります。
価値を決める「4C」と希少性
天然ダイヤの価値は、Carat(重さ)、Color(色)、Clarity(透明度)、Cut(輝き)の“4C”で評価されます。同じグレードでも、インクルージョン(内包物)の位置や光の反射具合によって価格が変わることもあります。まさに「世界に二つと同じものがない」存在です。

キンバリープロセスによる安心な流通
かつては紛争地帯での違法採掘や児童労働が問題となり、“ブラッドダイヤモンド”と呼ばれる石が出回った時代もありました。
しかし現在では、キンバリープロセス(Kimberley Process) という国際協定により、原産地証明のないダイヤは市場に出回らないよう厳格に管理されています。正規ルートで流通する天然ダイヤは、安心して選べる時代になっているのです。
ラボグロウンダイヤモンドとは ― 技術が生んだ新しい本物
科学が再現した「地球のプロセス」
ラボグロウンダイヤは、天然ダイヤが地中で生成される環境を人工的に再現して作られます。主に2つの製法があります。
①HPHT法(高温高圧法):天然と同じように高温高圧で炭素を結晶化。
②CVD法(化学気相成長法):真空中で炭素を少しずつ堆積させて成長。

どちらも科学的には“本物のダイヤモンド”です。硬度10、光の分散率、屈折率も同一。肉眼で天然とラボグロウンを見分けることは不可能です。

コストダウンと品質の安定化
天然ダイヤの採掘には膨大な人手とコストがかかりますが、ラボグロウンは数週間〜数か月で生産可能。これにより価格は同品質の天然より30〜50%ほど安価です。品質のばらつきも少なく、クリーンな輝きを安定して提供できる点が評価されています。
「エシカル」「サステナブル」の象徴として
採掘を伴わないため、環境破壊や労働搾取といった問題と無縁であることも、ラボグロウンの大きな魅力です。とくに欧米では、エシカル(倫理的)でサステナブル(持続可能)な選択として支持されています。
ただし近年、「製造時の電力消費によるCO₂排出量が多い」という指摘もあり、100%クリーンとは言い切れません。太陽光など再生可能エネルギーを使うメーカーも増えていますが、環境面の評価は今も進化の途中にあります。

天然とラボグロウン ― “科学的には同じ、意味は違う”
外見は同じ、でも感じ方は違う
科学的には完全に同一の結晶構造を持つ2つのダイヤですが、「どう感じるか」には大きな違いがあります。
天然ダイヤには、地球が生んだ奇跡としての“ロマン”や“唯一無二の物語”があります。
一方でラボグロウンは、人類の技術が自然を再現した“知恵の結晶”としての新しい価値を持ちます。
つまり、天然は感性の象徴、ラボグロウンは理性の象徴。
婚約指輪を贈る人・受け取る人、それぞれの価値観によってどちらが「ふさわしい」と感じるかは異なります。

ブランドと市場の動き
世界的ブランドでは、ティファニーやカルティエなどが依然として天然ダイヤ中心ですが、若い世代に人気の新興ブランドやEC系ジュエラーではラボグロウンを積極的に採用する動きが広がっています。
「天然=伝統」「ラボグロウン=現代的価値観」という構図が徐々に定着しつつあります。
実体験:環境活動家の女性に贈られたダイヤモンド
数年前、筆者である当ブランドプロデューサーの恩田は、プロポーズを控えた男性から「婚約指輪にふさわしいダイヤを探してほしい」と依頼を受けました。
相手の女性は環境活動家で、アフリカの紛争地域における劣悪な採掘労働を強く問題視しており、一般的な天然ダイヤは望んでいませんでした。
そこで私は、オーストラリアのアーガイル鉱山で採れた原産地証明付きの天然ピンクダイヤを提案しました。流通経路が明確で、倫理的に安心できる石だったからです。サイズは控えめでしたが、その分希少性が高く、彼女の信念とも一致していました。結果的に二人にとって心から納得できる、意味のある選択となり、プロポーズは大成功を収めました。
ただ、今振り返ると「もし今ならラボグロウンという選択肢もあった」と感じます。天然のピンクダイヤは非常に高価ですが、ラボグロウンなら手が届く価格で、より大きく鮮やかな石を選ぶことができます。倫理性を保ちながら美しさも妥協しない――そんな選択肢が現代にはあるのです。

「無色は天然」「カラーはラボグロウン」という考え方
無色のダイヤは、やはり天然が王道
これまで何万個ものダイヤを扱ってきた私自身 の考えとして、もし“無色のダイヤ”を選ぶなら、やはり天然をおすすめしたいと思います。
無色のダイヤモンドは「純粋」「永遠」「普遍」の象徴であり、その意味を込めるなら天然のストーリーと相性が良い。 また現時点では、無色のラボグロウンにはどうしても“天然の廉価版”というイメージが残っています。特別なプロポーズの象徴としては、まだ天然の方がふさわしいと感じるのです。
一方で、カラーラボグロウンの魅力は別格
ただし、カラーのラボグロウンダイヤはまったく別の魅力を持っています。
天然のピンクやブルーのカラーダイヤは極めて希少で、小さな石でも数百万円、大粒なら数千万円に達します。ラボグロウンであれば、数十万円で同等の美しさを手に入れることができます。
ファッション的にも魅力が高く、婚約指輪や記念ジュエリーに「自分らしさ」や「彩り」を加えたい方には最適です。しかもエシカルで環境にも配慮できるという、現代的な価値観とも調和します。

色で選ぶ新しい婚約指輪のかたち
近年では「カラーダイヤの婚約指輪」が注目され始めています。
ピンクは愛情、ブルーは誠実、イエローは幸福――それぞれに意味があり、ふたりの関係を象徴する色として選ばれることも増えています。
このトレンドを牽引しているのが、まさにラボグロウンダイヤです。
まとめ:無色は天然、カラーはラボグロウンという選び方
婚約指輪において、天然とラボグロウンのどちらが“正解”ということはありません。
それぞれに異なる魅力があり、選ぶ人の価値観によって「最適な答え」が変わります。
ただ、私の個人的な考えとしては――
無色のダイヤを選ぶなら、天然をおすすめしたい。
天然には、地球が数十億年かけて育んだ“奇跡の物語”が宿っています。
一方で、カラーのラボグロウンダイヤ は非常に魅力的です。
天然では手の届かない価格帯の美しい色彩を楽しめるうえ、エシカルで個性を表現できるファッション的な魅力もあります。
つまり、「無色は天然、カラーはラボグロウン」という考え方は、現代の婚約指輪選びにおいてとても現実的でバランスの取れたアプローチだと思います。
婚約指輪は“どの石を選ぶか”ではなく、“どんな想いを込めるか”が大切。
天然でもラボグロウンでも、そこに二人の価値観と未来への願いが込められていれば、それが世界に一つだけの輝きになるのです。
Diamond Showcaseでは、婚約指輪には品質にこだわった天然ダイヤを、ファッションジュエリーには華やかな色合いが楽しめるラボグロウンダイヤを取り揃えています。
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