婚約指輪におけるハートアンドキューピッドの価値とは

婚約指輪におけるハートアンドキューピッドの価値とは

婚約指輪のことを調べ始めると、おのずと出てくる「ハートアンドキューピッド」(H&C)。
この「ハートアンドキューピッド」とは、特別なスコープでダイヤモンドを覗いた際に見える模様のことを指します。今回は婚約指輪におけるハートアンドキューピッドの価値について深堀してまいりましょう。

ハートアンドキューピッドってなに?

ダイヤモンドを正面から覗くと、矢じり模様が8方向に広がって見える「キューピッドマーク」。

ダイヤモンドを裏側から覗くと、8つのハート模様が広がって見える「ハートマーク」。

この両方の現象が見えるダイヤモンドが「ハートアンドキューピッド」という称号を得られます。

そもそも一般的に使われているこの「ハートアンドキューピッド」という名称は、宝石の鑑定鑑別機関である中央宝石研究所の登録商標であり、正式な「ハートアンドキューピッド」の認定はこの中央宝石研究所で検査を受け、細かい条件をクリアしたものだけが得られます。

ちなみに海外では同様の現象を「ハートアンドアロー(Heart & Arrow)」と呼ぶことが多いです。

ハートアンドキューピッドが見えると何がいいの?

日常生活でダイヤモンドをじっくり見る機会のある方はかなり稀かと思います。ことさらキラキラ輝くダイヤモンドを専用のスコープで覗いて、万華鏡のように矢じり模様やハート模様が見えたときは感動ものです。

しかしこの「ハートアンドキューピッド」、実際に見えてキレイなのはもちろん素敵ですが、どちらかと言うとこの現象が見えるということが、ダイヤモンドの品質のひとつの証明になっているという部分が重要です。

「ハートアンドキューピッド」が見える原理

数ある宝石の中でもひときわ美しい輝きを放つダイヤモンドですが、その輝きの理由は高い屈折率と地球上の鉱物でもっとも高い硬度です。しかその輝きのポテンシャルをどれだけ発揮させるかは、ダイヤモンドをどのような形状にカットするかで大きく変わってきます。

よく目にする円形のダイヤモンドのほとんどは「ラウンドブリリアントカット」という57面体にカットされています。

ダイヤモンド史においてこれまで様々なカットスタイルが登場し、輝きの良さを競い合ってきました。そんな中「ラウンドブリリアントカット」は20世紀前半にベルギーのダイヤモンドカッター「マーセル・トルコウスキー」によって生み出されました。

それから100年を経て、今なおラウンドブリリアントカットがダイヤモンドカットスタイルのスタンダードになっているということ自体がラウンドブリリアントカットの素晴らしさを物語っていると言えるでしょう。

そんなラウンドブリリアントカットの中でも、ハートアンドキューピッドが見えるダイヤモンドはほんの一握りです。ダイヤモンドの形状を測定する際には、真上から見た時の直径を基準に、深さや各稜線の長さ、各面の角度など多くの項目が計測されます。

そしてそれらの数値がかなり狭い範囲のなかで条件が整ったものにのみハートアンドキューピッドが現れます。

ハートアンドキューピッドって見てわかるの?

一般的に婚約指輪用などで出回っている0.2~0.5ctくらいのサイズのダイヤモンドでは、なかなか一般ユーザーが肉眼でハートアンドキューピッドを確認することは難しいでしょう。基本的には専用のスコープで覗いて初めて確認できるものです。

前述の通り、見てわかるものというより、その評価が付いていること自体に意味がある現象と考えるべきでしょう。

婚約指輪にはハートアンドキューピッドを選ぶべきか?

ダイヤモンドのカットの評価について、現在婚約指輪用のダイヤモンドは「Excellent」が主流と言えるでしょう。20年ほど前まではワンランク下の「ベリーグッド」程度のものもよくありましたが。

カットの評価は数値計測から得られるプロポーション(形)の評価の他に、フィニッシュ(仕上げ)の評価として「研磨状態」「対称性」があります。

この「カット」「研磨状態」「対称性」の3つの項目で「エクセレント(Excellent)」の評価を得たものが「トリプルエクセレント(3EX)」と呼ばれます。

一方でハートアンドキューピッドは、カットの評価とは関係なく目視により確認・評価されます。

つまり「エクセレントカット」の中でも、以下のように細かく評価が分かれることになります。

・エクセレント(EX)

・トリプルエクセレント(3EX)

・エクセレント ハートアンドキューピッド(EX H&C)

・トリプルエクセレント ハートアンドキューピッド(3EX H&C)

要するに一番高い評価を得るものは「トリプルエクセレント(3EX)」と「ハートアンドキューピッド(H&C)」の両方を兼ね備えた「トリプルエクセレント ハートアンドキューピッド(3EX H&C)」ということになります。

ダイヤモンドを選ぶとき、大きさなどカット以外の評価も合わせて見比べる必要があり、その中でさらに最上級の「トリプルエクセレント ハートアンドキューピッド(3EX H&C)」のものを探そうとすると、かなり難しい道のりになるでしょう。

私の個人的な見解としては、「ハートアンドキューピッド」よりもまず「トリプルエクセレント」にこだわるべきだと思います。

きれいな模様が見える「ハートアンドキューピッド」は分かりやすく魅力的に感じますが、ダイヤ本来の輝きの評価という意味では、むしろトリプルエクセレント(3EX)に重きを置くのが正解だと考えます。

まとめ

「ハートアンドキューピッド(H&C)」とは、特定のスコープでダイヤモンドを覗いた際に見えるハートと矢じりの模様を指します。この現象は、精密なカットが施されたダイヤモンドにのみ現れ、品質の証とも言えます。

ただし、H&Cの有無はカット評価とは別の基準で判断されるため、婚約指輪選びでは「トリプルエクセレント(3EX)」を優先すべきとの考えもあります。最上級の輝きを求めるなら、「3EX H&C」が理想ですが、まずは「トリプルエクセレント(3EX)」に条件を絞り込んでダイヤモンドを選ぶことをおすすめします。

ちなみに弊社Diamond Showcaseでは、センターのダイヤモンドはすべて「トリプルエクセレント(3EX)」でご用意しております。またご希望があれば「ハートアンドキューピッド」付きのダイヤモンドもご用意いたします。

ダイヤモンドの選び方で悩まれた際は、ぜひ公式LINEでお気軽にご相談ください。あなたの希望に沿ったダイヤモンドや指輪をご提案いたします。